AI開発を依頼する際の注意点とは?開発の流れやおすすめの会社5選!
中小・大企業問わず多くの企業がAI導入やAI開発をしており、AIシステムを開発したいとお考えになる方も多いかと存じます。しかし、AIを開発するには「どのくらいの費用がかかるのか」「開発を依頼する前の注意事項」などを整理しておく必要があります。本記事ではAI開発を依頼する際の料金相場観、依頼時に失敗しないための注意点から具体的な会社までご紹介いたします。
AI開発を依頼する流れ
AI開発を外部に依頼する際には、プロジェクトの成功を確実にするために、体系的かつ段階的なアプローチが求められます。適切な流れに従うことで、要件の明確化から最終的な実装・納品まで、各フェーズでの課題やリスクを効果的に管理することが可能となります。 以下では、AI開発を依頼する際の具体的なプロセスを詳細に解説します。各ステップを丁寧に進めることで、開発の品質向上やコスト効率の最適化を図り、期待する成果を達成するための基盤を築くことができます。
ステップ1: 要件定義
要件定義は、AI開発プロジェクトの成功において最も重要な初期段階です。この段階では、プロジェクトの目標や期待される成果、機能要件、非機能要件を明確に定義することが求められます。
具体的には、以下の要素を詳細に検討する必要があります。
- プロジェクトの目的を明確にする
- 開発範囲を明確にする
- 必要な機能を洗い出す
- 実現可能性を検証する
- システム要件・セキュリティ要件を決める
最後に、要件定義書を作成し、関係者全員に共有することで、プロジェクトの透明性を確保し、開発チームとの効果的な連携を促進します。
この文書は、プロジェクトの進行中における参照資料として機能し、変更管理やリスク管理の基盤ともなります。 要件定義段階を丁寧かつ詳細に行うことで、後続の開発プロセスが円滑に進行し、最終的なAIシステムが期待される成果を的確に達成するための土台を確立することができます。
ステップ2: データの準備・データサイエンス
データサイエンスは、プロジェクトの成功を左右する重要なフェーズであり、データの準備とデータサイエンスのプロセスが含まれます。
この段階では、質の高いデータの収集、クリーニング、前処理、そして分析を行うことで、AIモデルの精度と有効性を確保します。
まず、適切なデータの収集が不可欠です。AIシステムの目的に応じて、必要なデータソースを特定し、多様なデータセットを集めることが求められます。データの多様性は、モデルの汎用性と精度を高めるために重要です。また、データの質も同様に重要であり、誤りや欠損値の多いデータはモデルの性能を低下させる可能性があります。
データの準備とデータサイエンスは、AI開発プロジェクトの基盤を形成し、後続の開発および実装段階における成功を支える重要なステップです。丁寧なデータ処理と深いデータ理解を通じて、高品質なAIシステムの構築を目指しましょう。
ステップ3: 開発
開発段階は、AI開発プロジェクトにおいて中心的な役割を果たします。前のステップで定義された要件と準備されたデータを基に、実際のAIソリューションを設計・実装していきます
AI開発においては、AIモデルの設計およびアーキテクチャの選定が最初に行われます。プロジェクトの目的やデータの特性に応じて、適切なアルゴリズムやフレームワークを選択することが不可欠です。
例えば、自然言語処理が目的であれば、Transformerベースのモデルが適している場合があります。一方、画像認識の場合は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が効果的です。設計段階では、モデルの複雑性や計算リソースの要件も考慮し、最適なアーキテクチャを決定します。
開発ステップは、AIプロジェクトの核心を成す重要なフェーズであり、ここでの成果が最終的なシステムの品質と性能に直結します。
ステップ4: テスト
テスト段階は、AI開発プロジェクトにおける品質保証の重要なフェーズであり、完成したAIモデルが期待通りに機能することを確認するために実施されます。
この段階では、開発されたモデルの性能や信頼性を評価し、実運用における課題を事前に洗い出すことが目的となります。
まず、テストデータの準備が行われます。開発段階で使用したトレーニングデータとは別に、モデルの汎用性を検証するための検証データセットを用意します。このデータセットは、実際の運用環境に近い状況を再現するものであり、多様なケースを網羅することが求められます。適切なテストデータの選定は、モデルの真の性能を評価する上で不可欠です。
次に、モデルの性能評価が実施されます。評価指標としては、精度、再現率、F値、ROC曲線などが一般的に使用されます。これらの指標を用いることで、モデルが特定のタスクに対してどの程度有効であるかを数値的に把握することが可能です。また、モデルの誤分類や過学習の有無を確認するための詳細な分析も行われます。
テストのプロセスや結果、発見された問題点とその対応策を体系的に記録することで、後続のメンテナンスやアップデート時に役立てることができます。
ステップ5: 実装・納品
最終フェーズとして、完成したAIモデルを実際の運用環境に展開し、クライアントに納品することで開発そのものが終了します。この段階では、開発されたシステムが確実に機能し、クライアントのニーズを満たすことを確認するため、細心の注意が払われます。
AI開発の料金相場
AI開発の料金相場 AI開発の料金は、プロジェクトの規模や複雑さ、必要とされる技術的要件によって大きく異なります。一般的に、AI開発にかかる費用は数百万円から数千万円、場合によってはそれ以上に達することもあります。
料金の設定には、開発に必要なリソースや期間、専門知識のレベルが反映されるため、具体的な見積もりを得るためには詳細な要件定義が不可欠です。
料金は開発規模によって変動する
AI開発における料金は、プロジェクトの規模に大きく左右されます。
具体的には、システムの機能数や複雑さ、必要となるデータの量と質、さらには導入する技術の高度さなどが影響を及ぼします。
小規模なプロジェクトでは、限定的な機能やシンプルなモデルの開発が中心となるため、比較的低コストで実施可能です。一方で、大規模なプロジェクトでは、多岐にわたる機能の統合や高度な機械学習アルゴリズムの開発が求められるため、当然ながら費用も増加します。
したがって、プロジェクト開始前に明確な要件定義を行い、適切な規模設定を行うことが、効率的な予算管理と成功裏のAI開発実施において極めて重要です。
料金目安は人件費と開発期間で計算
AI開発における料金の目安は、主に人件費と開発期間に基づいて算出されます。
AIプロジェクトにはデータサイエンティスト、機械学習エンジニア、ソフトウェア開発者、プロジェクトマネージャーなど、多様な専門職が関与します。各専門職のスキルレベルや経験年数に応じて、時給や日給が異なるため、プロジェクト全体の人件費が大きく変動します。
開発期間も料金に大きな影響を与えます。プロジェクトが長期化するほど、必要となる人材の投入量やリソースの消費が増加し、それに伴って総開発費用も上昇します。プロジェクトの進行状況や要件の変更によっても費用は変動する可能性があります。
従って、AI開発の料金を見積もる際には、人件費と開発期間を中心に、プロジェクトの具体的なニーズや条件を詳細に検討することが重要です。
AI開発会社に依頼する際の注意点
AI開発会社に依頼する際には、信頼できるAI開発会社を選定し、プロジェクトの成功を確実なものとすることが可能となります。
開発事例を開示してくれない会社には注意
開発事例を開示してくれない会社には注意が必要です。開発事例は、企業が過去にどのようなプロジェクトを手掛けてきたかを示す重要な指標であり、会社の技術力や専門性を評価する上で欠かせない情報です。
もし企業が具体的な事例を公開しない場合、その背後には以下のような懸念材料が存在する可能性があります。
- 透明性の欠如
- 品質保証の観点からも問題
この点については依頼者が十分なリサーチを行うことが難しいため、AI開発会社のホームページや資料情報などをよく注視しておくことが必須となります。
納品後の保守・運用サポートが充実しているかどうか
これは、AI開発を依頼する際に非常に重要な要素です。
保守・運用サポートがしっかりと整備されていることは、導入後のシステムの安定稼働や迅速な問題解決が期待できます。
以下に、保守・運用サポートが充実しているかどうかを判断する際のポイントを挙げます。
- サポート体制の明確さ
- サポート範囲の広さ
- アップデートが可能かどうかの明記
- 対応実績を公開している
- 研修やマニュアルの提供
以上のポイントを踏まえ、納品後の保守・運用サポートが充実しているかどうかを慎重に評価することが、AI開発プロジェクトの成功に繋がります。
料金が安すぎる提案をしてくる会社は注意
AI開発の料金は、専門知識や技術力、開発期間、人件費など多岐にわたる要素によって決定されます。そのため、あまりにも安価な提案をしてくる会社には慎重な検討が必要です。
安価な料金設定では、必要なリソースや時間が十分に確保できない可能性が高く、結果として完成度の低い成果物が提供されるリスクがあります。
また、初期提案時に提示された料金が低い場合、プロジェクト進行中に追加の要件や修正が必要となった際に、別途費用が発生することがあります。これにより、総費用が予想以上に膨らむ可能性があり、予算管理が困難になることがあります。
料金が安すぎる提案をしてくる会社には慎重に対応し、総合的な評価を行うことが重要です。
おすすめのAI開発会社5選
AI開発を委託するにあたり、信頼できるパートナー選びは非常に重要です。市場には多くの開発会社が存在しますが、それぞれの強みや専門分野は異なります。ここでは、実績豊富で高品質なサービスを提供するおすすめのAI開発会社を5社厳選し、各社の特徴や強みを詳しくご紹介します。
株式会社AVILEN
項目 | 内容 |
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会社名 | 株式会社AVILEN |
創業/設立 | 2018年8月15日 (finance.yahoo.co.jp) |
住所 | 〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町2-3-3 秋葉原ファーストスクエア9階 (avilen.jp) |
資本金 | 62,609千円(2025年6月現在) (minkabu.jp) |
事業内容 | AIソフトウェア開発、DX/AI人材育成支援、AIトランスフォーメーション戦略策定・実行支援 (avilen.jp) |
2023 年の東証グロース上場以降、同社は 「データとアルゴリズムで、人類を豊かにする」 を合言葉に支援社数を急拡大。法人向け ChatGPT エージェント、帳票処理 AI「帳ラク」など生成 AI 製品群に加え、G 検定や Copilot 研修などの教育メニューを体系化し“作って終わり”を防ぎます。直近ではキリン HD や京都市と連携し、窓口業務を自動化する PoC を開始するなど公共セクターでの実績も拡大中。
株式会社ブレインパッド
項目 | 内容 |
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会社名 | 株式会社ブレインパッド |
創業/設立 | 2004年3月18日 (brainpad.co.jp) |
住所 | 〒106-0032 東京都港区六本木3-1-1 六本木ティーキューブ (brainpad.co.jp) |
資本金 | 597百万円(2024年6月30日現在) (brainpad.co.jp) |
事業内容 | ビッグデータ活用コンサルティング、デジタルマーケティング SaaS「Rtoaster」など (brainpad.co.jp) |
データ分析専業のパイオニアは 2025 年 3 月、子会社 「BrainPad AAA」 を設立し自律型 AI エージェント事業を本格始動。Snowflake Summit 2025 では非構造化データ活用と LLM の組み合わせを現地レポートするなど技術発信力も健在です。自社 CDP「Rtoaster」シリーズや Vertex AI スタータープランを軸に、コンサル+SaaS の両輪で ROI 可視化まで支援するスタンスが特徴。
株式会社Laboro.AI
項目 | 内容 |
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会社名 | 株式会社Laboro.AI |
創業/設立 | 2016年4月1日 (laboro.ai) |
住所 | 〒104-0061 東京都中央区銀座8-11-1 (laboro.ai) |
資本金 | 10億924万円(2024年9月30日現在) (laboro.ai) |
事業内容 | オーダーメイド型「カスタムAI」開発、AI導入コンサルティング (laboro.ai) |
「すべての産業の新たな姿をつくる」を掲げる同社は、上流のソリューションデザインと下流の機械学習エンジニアリングを社内完結。製造業の異常検知やメディアの需要予測など 業界特化のオーダーメイド開発が強みです。モデル公開後は継続学習パイプラインと KPI ダッシュボードを提供し、モデル劣化を定量監視できる点で評価が高い。
株式会社Skrum
項目 | 内容 |
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会社名 | 株式会社Skrum |
創業/設立 | 2017年8月28日 (skrum.co.jp) |
住所 | 〒150-0044 東京都渋谷区円山町5-2 第二伊藤ビル4F (skrum.co.jp) |
資本金 | 825万円 (skrum.co.jp) |
事業内容 | AI/IoT・Webアプリ開発、DX伴走支援、クラウド目標管理ツールなどの自社サービス提供 (skrum.co.jp) |
渋谷発 2017 年創業。AI/IoT だけでなく Web・モバイル開発をスクラム型で高速展開するため、サンプルシステムを操作してから発注できるプリセールスが好評です。国内開発+オフショアジョイント開発でコストを抑えつつ、物流のシフト最適化から英語学習アプリまで幅広い導入実績を持ち、中小企業の“初めての AI”案件でもハードルを下げてくれます。
Leograph株式会社
項目 | 内容 |
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会社名 | Leograph株式会社 |
創業/設立 | 2021年6月1日 (leograph.co.jp) |
住所 | 〒169-0074 東京都新宿区北新宿2-21-1 新宿フロントタワー28F (leograph.co.jp) |
資本金 | 19,000,000円(資本準備金含む) (leograph.co.jp) |
事業内容 | AI研究開発、IT/AIシステム受託開発、記事生成AI「POPLOG」開発運営 等 (leograph.co.jp) |
「テクノロジーで課題を解決する」を掲げ、AI 顧問・受託開発・Web 運用代行をワンストップ提供。独自ライティングツール 「POPLOG」 は SEO 特化の生成 AI として評価され、COUNTER株式会社との業務提携で生成 AI 記事制作サービスを開始。画像認識や自然言語処理のパッケージも持ち、小売の販促データ分析を即座に可視化できるなど“マーケ×AI”に強い布陣です。
また、多くのAI開発関連サービスを打ち出しており、広い領域のニーズに対応することでも一定の評価を得ています。
まとめ
AI開発を外部に依頼する際には、プロジェクトの成功を左右する複数の要因を慎重に検討する必要があります。
料金が極端に低い提案には注意が必要であり、信頼性や長期的なサポート体制をしっかりと評価することが求められます。 最後に、信頼できるAI開発会社を選ぶためには、業界内での評価や実績、提供するソリューションの質を総合的に判断することが不可欠です。
ポイントを総合的に考慮することで、最適なパートナーを選定し、成功するAIプロジェクトの実現に繋げることができるでしょう。
この記事の著者

児玉慶一
執行役員/ AI・ITエンジニア
愛称: ケーイチ
1999年2月生まれ。大学へ現役進学後数ヶ月で通信キャリアの営業代理店を経験。営業商材をもとに100名規模の学生団体を構築。個人事業主として2018年〜2020年2月まで活動したのち、2020年4月に広告営業事業を営む株式会社TOYを創業。同時期にITの可能性を感じプログラミングを始め、現在はITエンジニアとして活動中。2021年にLeograph株式会社に参画し、AI研究開発やWebアプリ開発などを手掛ける。 「Don't repeat yourself(重複作業をなくそう)」「Garbage in, Garbage out(無意味なデータは、無意味な結果をもたらす)」をモットーにエンジニア業務をこなす。
【得意領域】
業務効率化AIモデル開発
事業課題、戦略工程からシステム開発
Webマーケティング戦略からSaaS開発