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生成AIで注目の自然言語処理技術を使ったサービス・ビジネス事例15選!

近年、生成AIの進化により多様なサービスやビジネスが急速に発展しています。中でも注目されているのが「自然言語処理技術」というAI関連の技術です。

企業によってはデータ収集などの目的のため自然言語処理に関する技術アセットを定着させたいというところもあるようです。

そこで本記事では、機械翻訳、テキスト感情分析、音声認識など、自然言語処理技術の具体的なサービス例をご紹介いたします。

是非今後のビジネスの参考にしてください。

自然言語処理技術でできること

自然言語処理技術は、テキストや音声データを高度に理解・分析し、多様な応用を可能にします。

単的に言えば「テキスト内の重要な文字や文章を抽出する」「文章を要約する」「テキストを何かに変換する」ということができる技術のことで、人間が話す言語を処理する技術の名称になります。

本節では、サービス事例のご紹介の前に、これらの主要な技術について詳しく解説しそれぞれの具体的な応用事例を紹介したいかと思います。

機械翻訳

機械翻訳は、コンピュータを用いて異なる言語間でテキストや音声の自動的な翻訳を行う技術です。

自然言語処理技術が今ほど進化していなかった昔、機械翻訳とはひどいものでした。日本語から英語に翻訳しようものなら、日本語単語に対応する英単語の辞書引きをそのまま文章に当てはめるかのような、つまりは不自然すぎる翻訳しか実現されていませんでした。

しかし、昨今の自然言語処理技術は、より異文化同士の言語の“現地のニュアンスに沿った翻訳”出会ったり、“文脈に沿った意味を抽出した状態での翻訳”など、異文化間でも会話の意味が失われずに翻訳されるようになりました。

これにより、グローバルなコミュニケーションが迅速かつ効率的に実現され、ビジネスや教育、観光などさまざまな分野で活用されています。

テキスト感情分析

テキスト感情分析とは、そのテキストに込められた感情(ネガ・ポジ)を分析し、テキストを発した人間の思いを数値的に解釈することができる分析手法です。

自然言語処理技術によるこの技術はテキストデータから感情や意見を自動的に識別・分類することができ、主に企業はこの技術を活用して顧客のフィードバックやSNSの投稿を分析し、製品やサービスの改善に役立てています。

大手のブランドから抽象マーケティングカンパニーまで、今や感情分析は一般的なものになったと言っても過言ではないでしょう。

音声認識

音声認識に関しても、音声データを正確にテキストへ変換するという観点で自然言語処理技術の一つです。

単純な音声入力によるシステムの制御のみならず、最近ではコールセンターの自動対応や会議の自動記録など幅広い範囲でこの技術が活用されています。

無駄な時間のかかる入力作業などがなくなるために、迅速な意思決定につながるところが魅力です。

自然言語処理技術を活用することは、ひいてはビジネスの競争力強化に大きく寄与していくことが想像にたやすいかと思います。

自然言語処理と生成AIの違い

そんな便利な自然言語処理技術ですが、この言葉を一般の会話でも聞くになったのはここ最近(それも1, 2年)の話です。これには生成AIの普及が間違いなく関与していると言えます。

Googleなどの検索エンジンに登場する共起語を調べても、自然言語処理という言葉には必ず「生成AI」が登場してきます。

確かに自然言語処理と生成AIは密接に関連していますが、目的や機能において明確な違いがあります。

ここでは二つの言葉を混同してしまう方のために、二つの違いについて解説していきたいかと思います。

自然言語処理は技術の手法

自然言語処理(NLP)は、人間の言語を理解・解析する技術的手法のことを指す言葉です。 手法であり目的ではなく、またそれ単体で何かを形作るものではないため、つまりは「自然言語処理とはただの概念である」と言えるでしょう。

生成AIは自然言語処理技術を搭載した人工知能

自然言語処理という概念に対して、生成AI(Generative AI)は、自然言語処理技術を搭載した人工知能のことを指します。

また、場合によってはサービスのことを生成AIと呼称することもあり、人々が実際に目で見たり触れることができるデバイスに搭載されているもののことを指します。その内容は、テキスト生成、オーディオ生成、画像生成、動画生成といった実際の成果物を出力するものになります。

確かに生成AIの中核技術(主にTransformersモデル)は自然言語処理技術が使用されていますが、これらは同一ではなく一方が他方を包含する関係にあるものです。

自然言語処理技術を使ったサービス・ビジネス事例15選

本節では、自然言語処理技術を活用した代表的なサービスやビジネス事例を15件紹介します。

各事例では、具体的な導入方法や成果についても解説しているので、皆さまの事業や業務の改善に

Google翻訳

Google翻訳は、Googleが提供する無料の機械翻訳サービスで、100以上の言語に対応しています。テキスト、音声、画像、手書き入力など多様な入力方法をサポートし、ニューラル機械翻訳技術により高精度で自然な翻訳を実現しています。

2024年6月には広東語を含む110の新しい言語が追加され、対応言語数が約250に拡大しました。これにより、アフリカの言語や消滅危機にあるマン島語など、多様な言語の翻訳が可能になりました。

特徴効果
250言語対応の幅広いカバレッジグローバルコミュニケーションの障壁を解消
画像内テキスト翻訳機能レストランメニューや看板など日常生活での即時翻訳
Google翻訳APIの提供他アプリケーションへの柔軟な組み込みが可能

Anthropic Claude

Anthropic Claudeは、Anthropic社が開発した高度な自然言語処理AIです。安全性と倫理性を重視した設計により、信頼性の高い対話や情報提供を実現します。

最大20万トークン以上の長文データを一度に処理できるコンテキストウィンドウを持ち、複雑な文脈や依存関係の理解に優れています。また、「Constitutional AI」という独自のアプローチにより、AIの出力内容が倫理的基準に沿うよう設計されています。

特徴効果
20万トークン以上の長文処理能力長文書の分析や複雑なタスクで高パフォーマンス
Constitutional AIによる倫理的設計有害コンテンツの生成抑制と誤情報拡散リスクの低減
API経由での容易なシステム統合企業ニーズに柔軟に適応可能
継続的なアップデートによる性能向上常に最新の精度と機能を提供

OpenAI ChatGPT

OpenAI ChatGPTは、OpenAI社が開発した高度な自然言語処理AIです。豊富な対話能力を持ち、カスタマーサポート、コンテンツ生成、データ分析など多岐にわたるビジネス用途で活用されています。

2024年11月には、ウェブ検索機能「ChatGPT Search」を導入し、最新ニュースや天気、株価などの情報をユーザーが検索エンジンを介さずに入手可能になりました。

2025年2月には「Deep Research」機能がPlusユーザーのUIに追加され、指定トピックについてウェブを自動ブラウズし、誰もが5~30分で引用元を含むレポートを生成できるようになりました。

特徴効果
ChatGPT Search機能リアルタイム情報への即座のアクセス
Deep Research機能包括的なリサーチレポートの自動生成
多言語対応とカスタマイズ機能グローバル展開に適した柔軟性

Apple Siri

Apple Siriは、Apple社が提供する先進的な音声アシスタントで、自然言語処理技術を駆使しています。ユーザーの音声コマンドを理解し、情報検索、スケジュール管理、メッセージ送信など多様なタスクを遂行します。

iOS、macOS、その他Apple製デバイスとの高度な連携により、シームレスなユーザー体験を実現。機械学習を活用してユーザーの発話パターンを継続的に学習し、応答の精度と適応性を向上させています。

特徴効果
Apple製品間でのシームレスな連携統一されたユーザー体験の提供
機械学習による継続的な改善個人に最適化された応答精度の向上
強固なプライバシー保護ユーザーデータの安全管理による信頼性確保
多言語対応機能グローバルユーザーへの柔軟な対応

DeepL翻訳

DeepL翻訳は、ドイツのDeepL GmbHが提供する高度な機械翻訳サービスです。最新のニューラルネットワーク技術を活用し、従来の翻訳ツールを凌駕する精度と自然な表現力を実現しています。

2025年3月にはビジネス向け新機能「Clarify」を発表し、翻訳プロセスでの曖昧さ解消により高品質な翻訳を実現しています。

特徴効果
次世代LLM搭載による高精度翻訳競合他社を上回る翻訳品質
Clarify機能による曖昧さ解消ビジネス文書の正確な翻訳を実現
業界最高水準の自然な表現力ネイティブレベルの翻訳品質
専門用語への対応力多国籍企業の専門的ニーズに対応

弁護士ドットコム クラウドサイン

弁護士ドットコム クラウドサインは、法的文書の電子署名を簡便かつ安全に行うクラウドベースサービスです。自然言語処理技術を活用し、契約書や合意書の自動生成・レビュー機能を提供しています。

2024年5月にはAIによる契約内容のリスク分析機能を導入し、迅速かつ正確なリスク評価が可能になりました。2025年4月にはサイバートラスト株式会社と共同で耐量子計算機暗号(PQC)の技術検証を開始し、量子コンピュータ時代のセキュリティ確保を目指しています。

特徴効果
AI契約リスク分析機能手作業チェックより迅速・正確な評価
多言語対応の強化国際取引の契約プロセス支援
耐量子計算機暗号の技術検証将来的なセキュリティリスクへの対応
自動文書生成・レビュー機能文書作成の効率化とエラー削減

YouTube 字幕生成

YouTubeの字幕生成機能は、動画コンテンツのアクセシビリティ向上と視聴者体験の最適化を目的としたツールです。自然言語処理技術と音声認識技術により、自動的かつ高精度な字幕生成を実現しています。

多言語対応機能が強化され、主要言語での字幕生成精度が今もなお向上し続けています。

特徴効果
自動字幕生成による時間短縮クリエイターの作業負担を大幅削減
AIによる文脈理解機能専門用語やスラングの正確な字幕化

Amazon

Amazonは自然言語処理技術を活用した多様なサービスを展開しています。音声アシスタントのAlexaは、ユーザーの音声コマンドを理解し、音楽再生やスマートホーム制御、情報提供などを行います。

AWS(Amazon Web Services)では、Amazon ComprehendやAmazon PollyなどのNLP関連サービスを提供。2024年には日本語対応の新しい生成AI機能を導入し、出品者が商品説明や商品名を簡単に作成できるようになりました。

特徴効果
Alexaによる音声インターフェース直感的な操作でスマートホーム制御
Amazon Personalizeによる推薦システム個人化された商品提案で売上増加
生成AIによる出品支援機能出品者の作業効率向上
AWS NLPサービスの提供企業の独自アプリケーション開発支援

Mercari

メルカリは自然言語処理技術を活用してユーザー体験の向上と運営効率の最適化を図っています。出品情報の自動分類や商品検索機能の強化により、検索精度の向上に寄与しています。

生成AI・大規模言語モデルを活用した「メルカリAIアシスト」では、出品された商品情報をAIが分析し、売れやすくなるよう改善提案を行います。2023年7月にはChatGPTプラグインを導入し、自然な会話を通じて商品検索が可能になりました。

特徴効果
AIによる商品情報の自動分類適切なカテゴリー分けで検索精度向上
メルカリAIアシストの改善提案出品商品の売れ行き向上
ChatGPTプラグインによる対話検索従来とは異なる新しい検索体験の提供
感情分析によるフィードバック解析サービス改善のためのデータ活用

楽天市場

楽天市場は自然言語処理技術を活用してユーザー体験の向上と運営効率の最適化を推進しています。商品タイトルや説明文の自動生成・最適化により、出品者が効果的な商品情報を掲示できるよう支援しています。

店舗向けチャットボットにAI技術を導入し、店舗運営に関する情報検索や対話機能を提供。購入後のレビュー分析にも自然言語処理を活用し、顧客フィードバックを詳細に解析してサービス改善に役立てています。

特徴効果
商品情報の自動生成・最適化SEO向上とユーザーの商品発見容易化
AI搭載チャットボットカスタマーサポートの自動化と迅速対応
レビューの感情分析機能顧客満足度の把握とサービス改善
店舗向けAI対話機能店舗運営の効率化支援

Duolingo

DuolingoはAIと機械学習を活用して、ユーザー一人ひとりに最適化された語学学習体験を提供しています。学習者の回答をリアルタイムで解析し、適切なフィードバックや補足説明を自動生成します。

チャットボットを用いた対話練習機能により、実践的な会話スキルの向上を促進。ユーザーの学習データを解析し、個々の進捗や弱点に基づいたパーソナライズされた学習プランを提供しています。

特徴効果
リアルタイム回答解析即座のフィードバックで効果的な学習
AIチャットボット対話練習実践的な会話スキルの向上
パーソナライズド学習プラン個人の弱点に応じた最適な学習経路
継続的な学習データ分析学習意欲の維持と成果の最大化

GenSpark

GenSparkは最新の自然言語処理技術を用いて、高度なカスタマーサポートソリューションを提供しています。顧客からの問い合わせをリアルタイムで解析し、適切な自動応答を生成します。

また、CRMのみならずClaude APIを用いたUI生成機能、資料生成機能なども充実しています。

特徴効果
データ分析による需要予測在庫最適化と無駄の削減
フィードバック分析機能サービス改善と新ニーズの発掘

Perplexity AI Deep Research

Perplexity AI Deep Researchは最先端の自然言語処理技術を活用し、深度の高いリサーチ支援を提供するサービスです。大量のデータを迅速かつ正確に解析し、複雑な問い合わせにも的確な回答を生成します。

国際的なコンサルティング会社では導入によりレポート作成時間を50%削減し、分析精度を向上。金融、マーケティング、テクノロジーなどの専門的タスクで優れたパフォーマンスを発揮し、各種ベンチマークで高成績を記録しています。

特徴効果
高速データ解析能力レポート作成時間の大幅短縮
専門分野での高精度分析専門家レベルのリサーチを数分で実現
膨大な文献の要約・抽出機能研究効率の飛躍的向上
各種ベンチマークでの高成績信頼性の高い分析結果の提供

GitHub Copilot

GitHub CopilotはOpenAIの技術を活用したAIベースのコード補完ツールです。自然言語処理を用いて、開発者が記述するコメントやコードに基づき、適切なコードスニペットや関数をリアルタイムで提案します。

2025年2月には組織ごとの開発ワークフローへの適応が強化され、複数ファイルにわたる変更を自動実装するエージェント機能やNext Editコード提案機能が導入されました。2025年4月にはコードレビュー機能も追加されています。

特徴効果
AIによるリアルタイムコード提案開発速度の大幅向上
エージェント機能による自動実装複雑な変更作業の効率化
Next Editコード提案機能コード変更の加速
AIコードレビュー機能コード品質の向上と学習効率化

NotionAI

NotionAIは、ノート作成やプロジェクト管理を支援するNotionの高度な人工知能機能です。自然言語処理技術を活用し、ユーザーの入力に基づいて自動的にコンテンツを生成・整理します。

2025年5月に発表された「Notion AI for Work」では、Slack、Google Drive、Microsoft Teams、GitHub、Jiraなど複数ツールを横断する統合検索機能が追加され、情報のサイロ化問題を解決。Microsoft Teamsとの連携強化により、会議の自動要約やチームディスカッションの検索も可能になりました。

特徴効果
複数ツール横断の統合検索情報サイロ化の解消と検索効率向上
自動コンテンツ生成・整理ドキュメント作成時間の短縮
Microsoft Teams連携強化チームコラボレーションの変革
会議の自動要約機能ミーティング記録の効率化

まとめ

本記事では、生成AIおよび自然言語処理技術を活用した多彩なサービス・ビジネス事例を15選紹介しました。

また、サービスに導入されている技術の概論についても触れているため、適宜記事を振り返りながらご覧いただくことでさらに理解を深めていただけるかと思います。

この記事の著者

児玉慶一(ケーイチ)

児玉慶一

執行役員/ AI・ITエンジニア

SNS Xアカウント

愛称: ケーイチ
1999年2月生まれ。大学へ現役進学後数ヶ月で通信キャリアの営業代理店を経験。営業商材をもとに100名規模の学生団体を構築。個人事業主として2018年〜2020年2月まで活動したのち、2020年4月に広告営業事業を営む株式会社TOYを創業。同時期にITの可能性を感じプログラミングを始め、現在はITエンジニアとして活動中。2021年にLeograph株式会社に参画し、AI研究開発やWebアプリ開発などを手掛ける。 「Don't repeat yourself(重複作業をなくそう)」「Garbage in, Garbage out(無意味なデータは、無意味な結果をもたらす)」をモットーにエンジニア業務をこなす。
【得意領域】
業務効率化AIモデル開発
事業課題、戦略工程からシステム開発
Webマーケティング戦略からSaaS開発