【動画付き】生成AI活用システムの開発方法とは?事例を踏まえて解説!
デジタルマーケティング業界のトレンドとして、生成AIを活用したシステム開発・導入が盛んとなっている昨今ですが、具体的にどのように開発をすればいいかわからない、イメージがつきにくいという意見があります。
今回はCOUNTER株式会社とのコラボYouTube動画での対談内容を一部抜粋し、図解とともに「生成AIシステムの開発方法」についてご紹介して参ります。
※本記事で解説するシステム開発は「アジャイル開発」を前提とした内容となっております。
生成AI活用システム開発の流れ

生成AI活用システムを開発するためには、適切なプロセスを踏んでいく必要があります。
特に、BtoB向けシステムをサービスとして開発する場合は、以下の点に注意を払って然るべきです。
- 誰のための
- どの課題に対する
- 何を提供するシステムにしたいのか
この点について言及せずに開発を進めてしまうと、中庸なプロダクトや価値の低いシステムが出来上がる恐れがあります。
本節では適切な開発プロセスについて詳しくみていきます。
システム構想
構想フェーズは、システムの最も上流である「誰のための、どの課題に対する、何を提供する」という構想を練るフェーズとなります。
このフェーズで適切な議論を行わないと、前述の通り面白味のないシステムを作ってしまったり、開発途中に「このプロジェクトってなんのためのものなんだっけ?」とブレてしまいます。
考え方としては、使用者の業務を具体的にイメージした時に、
- 時間がかかりすぎる業務はどれか
- 重複作業は存在するか
という点を中心に課題を抽出するといいでしょう。いわゆる「業務理解を深める」という考え方です。
理由は、多くの場合、時間のかかる業務や重複作業(毎回同じような作業)は、プログラミングによって解決できる可能性が高いためです。

また、課題を抽出することができたとして、「解決すると便利かもしれない」「その課題は自分たちの解決する対象ではない」と判断基準が曖昧なパートが出現することがあります。
そのパートまで無理にスコープを広げようとせず、初期は最低限の価値提供にとどめて検証フェーズへと移行することをおすすめします。
PoC
生成AI活用システム開発のPoC(Proof of Concept)は、これまでの一般的なITシステムのPoCと同様に取り入れておくといいでしょう。
特に、マーケティング業界における生成AI SaaSは、業界概念としてはまだまだ浸透していない印象を受けます。このような新規性の高い市場においてはなおさらPoCフェーズは欠かせません。
また、昨今の生成AIは「API」が公開されていることもあり、検証段階でのコストが安くつくという点が大きな特徴です。
生成AIシステム開発は、いわゆる「PoC疲れ(検証段階でコストを使いすぎる)」が起きにくい領域と言っても過言ではありません。
MVP構築へ
システム構想〜PoCのフェーズを過ぎたら、いよいよシステムの初期内容を固める段階に移ります。
この時点では
- 業務要件
- 機能要件
- データテーブル要件
- インフラ要件
などの各種要件が明確になっているため、開発要件定義を定めることができます。
しかし、ここで重要なのは長期的に実現したい“壮大な構想”を描くのではなく、あくまでも最低限の価値提供を実現するためのシステム開発を定義(MVP構築)するということです。
特に、アジャイル開発が採用されやすい新規性の高いシステム開発においては、初期フェーズではMVP構築を目指して開発要件定義を行うといいでしょう。
生成AIと相性のいいシステムとは?

ここで、生成AIと相性のいいシステムについて解説したいと思います。
生成AIの仕組みを考えたときに、相性の良さを考慮することも重要です。
具体的なものをご紹介する前に、まずは図解をもとに生成AIの仕組みについて解説したいかと思います。
※本節で扱う「生成AI」とは「テキスト生成AI」のことを指します。
生成AIの仕組み
SNSのタイムラインや、デジタルマーケティング業界の中でも「生成AIを積極的に取り入れるべきだ」という論調をよく見かけるようになりましたが、おそらくその仕組みを詳しく知った上での議論というのは多くありません。
しかし、生成AIをうまく活用するためには、その仕組みを最低限でも理解しておく必要があります。
今回は生成AIの仕組みを簡略化した画像をもとに解説したいかと思います。下記の画像をご覧ください。


この画像は、生成AIモデルが機能する流れを最も最低限に簡略化した図です。
モデルが機能する流れは以下の通りです。
- 文字列を受け取る
- ユーザーの送るプロンプト文を読み取る
- 文字列を変換する(エンコード)
- 変換を文字列に戻す(デコード)
- 文字列を返す
- ユーザーへテキストを返す
実際にはもっと複雑な工程を経てモデルが機能しますが、基本的には至ってシンプルな流れだと認識して差し支えありません。
しかし、一部の人はモデルの中身はブラックボックスで「魔法のように願いを叶えてくれる」と思ってしまうことがあるため、ここでは生成AIはあくまで「テキストを変換して、変換して、返す」というシンプルな振る舞いをしていると解説しておきます。
以上を踏まえた上で、ここからは生成AIと相性のいいシステム形態を2つご紹介します。
コンテンツ生成システム
コンテンツ生成システムは、生成AIとの相性が最も良い例の一つです。
理由としては、先ほどの解説の通り、生成AIは「文字を変換し、文字を返す」という流れを汲むため、SEO記事などのテキストコンテンツを生成することが得意と言えます。
記事は「見出し構成」「記事のキーワード」「見出しに対する本文」と、生成AIにとっては非常にシンプルなインプット&アウトプットデータとして捉えさせることが可能です。これは、文脈と文章の意味成分の抽出が容易であると言い換えられます。
よって、コンテンツ生成システムを開発する際、生成AIを取り入れやすいと言えます。
顧客インサイト分析システム
顧客インサイト分析システムに関しても、生成AIは相性がいいと言っていいでしょう。
分析そのものは独自のアルゴリズムやナレッジを要する部分にはなりますが、「大量テキストから重要な部分を抽出する」「長い文章を特定のフォーマットに縮める」「文章を要約する」など、生成AIが得意とするノイズの削減がこの領域で輝きます。
これにより、例えば以下のようなことを生成AIによって実現することが可能になります:
- 商品レビューの感情分析
- 自社口コミの傾向分析
- MEOツールの開発(レビューの自動整形など)
- メールレスポンスから見込み顧客を見つけるCRM
ぜひ、顧客インサイトを分析するツールは生成AIの導入を検討してみてください。
生成AI活用システムの事例3選
ここからは、実際に生成AIを活用したシステム開発(プロダクト)の事例をご紹介していきます。
各システムは生成AIをうまく取り入れた事例となっていますので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。
POPLOG(AIライティングツール)

POPLOGは、Leograph株式会社とCOUNTER株式会社の共同開発によって、2024年初頭に開始されたSEOコンテンツ生成ライティングツールおよびサービスです。
AIライティングが現在ほど普及していなかった当時、両社によるプレスリリースは業界での注目を集めました。
このツールはテキスト生成AIによるSEOコンテンツの生成システムを採用しており、コンテンツ制作業務の負担を劇的に減らしたことにより一手の評価を得ています。
サービス会社 | COUNTER株式会社 |
開発会社 | Leograph株式会社 |
内容 | テキスト生成AIを活用したSEOコンテンツ生成ライティングツール。 サービスでは、ツール提供以外に制作代行や改善コンサルティングなどの役務も提供。 |
料金等 | トライアル: 無料 最低料金: サービスページよりお問い合わせください |
SAKUBUN(AIライティングツール)

SAKUBUNは、ライティング生成AIツールとしては最も早い段階で開始された事例の一つであり、上場企業など多くの企業に導入されています。
UI(ユーザーインターフェース)はシンプルで、コンテンツ生成をより正確に仕上げるための設定などが充実しているツールです。
開発会社 | NOVEL株式会社 |
内容 | テキスト生成AIを活用したコンテンツ生成ライティングツール。 ペルソナの指定や、見出し設計段階での詳細な設定により、精彩な文章生成を実現。 |
料金等 | トライアル: 無料 最低料金: 料金ページから見積もりが可能 |
Genspark(AIエージェント・資料作成AI)

Gensparkは、テキスト生成AIを活用し、独自AIモデルと掛け合わせた制作業務特化型AIエージェントです。
その精度の高さから、今まで資料作成業務において時間を取られていた人たちからの評価が高いことで有名です。
開発会社 | Genspark Inc. |
内容 | テキスト生成AIを活用し、独自AIモデルと掛け合わせた制作業務特化型AIエージェント。 資料作成業務において真価を発揮。 |
料金等 | フリープラン: あり 最低料金: 3,000円~/月 |
まとめ
本記事では、生成AIを活用してシステム開発を行う方法について詳しく解説しました。
また、本記事の初頭にこの記事の元ネタとなったCOUNTERチャンネルとのコラボ動画が掲載されていますので、そちらも併せてご覧ください。
皆様のシステム開発の参考となることを願っております。
この記事の著者

児玉慶一
執行役員/ AI・ITエンジニア
愛称: ケーイチ
1999年2月生まれ。大学へ現役進学後数ヶ月で通信キャリアの営業代理店を経験。営業商材をもとに100名規模の学生団体を構築。個人事業主として2018年〜2020年2月まで活動したのち、2020年4月に広告営業事業を営む株式会社TOYを創業。同時期にITの可能性を感じプログラミングを始め、現在はITエンジニアとして活動中。2021年にLeograph株式会社に参画し、AI研究開発やWebアプリ開発などを手掛ける。 「Don't repeat yourself(重複作業をなくそう)」「Garbage in, Garbage out(無意味なデータは、無意味な結果をもたらす)」をモットーにエンジニア業務をこなす。
【得意領域】
業務効率化AIモデル開発
事業課題、戦略工程からシステム開発
Webマーケティング戦略からSaaS開発